SSブログ

植木等さん一周忌 [映像製作/映画/アニメ]

にほんブログ村 テレビブログへ
 植木等さんの一周忌である。

 ハナ肇とクレージーキャッツ…ウルトラ同様“とにかく好き”というだけの緩いファンではあるが、その“とにかく好き”であることについては人後に落ちないと思う。

 リーダーであるハナ肇さんが亡くなったとき、植木等さんが「クレージーキャッツはこれで解散」とおっしゃったそうだが、後に撤回されたらしい。つまり、鬼籍に入られた方が半分以上となってしまった今も解散はしていないことになる。素敵じゃないですか。
 テレビや映画で観るクレージーキャッツの姿が魅力的であることは言うまでもないが、インタビューや本などで知ることが出来る7人の男たちのつながりも非常に魅力を感じる。

 最近出た『病室のシャボン玉ホリデー ハナ肇、最期の29日間』(なべおさみ 文藝春秋 2008)と、『植木等伝「わかっちゃいるけど、やめられない!」』(戸井十月 小学館 2007)も良かった。書評は苦手なので詳細は省く。興味があればお読みください。

080327book.jpg

 さて、『シャボン玉ホリデー』に登場した「お呼びでない? こりゃまた失礼しましたっ!」というギャグについては、義務教育を受けた方なら必ず教わっているはずだ…ンな訳ないか。
 とにかく植木等さんが場違いなシチュエーションで登場して周囲を「ハラホロヒレ…」とずっこけさせるというギャグ。これ、言葉で説明しても面白くないし、他の人が真似してやっても面白くないのだ。あのキャラクターなればこそのギャグなのである。しかも、他の出演者が「来るぞ来るぞ…」ってな感じで吹き出しそうになるのを我慢している様子なんぞが見えた日にゃあもう、そのシチュエーション自体に笑える。

 えー…。

080327pit.jpg
「エレキング! ウルトラセブンを倒すのよ!」

080327ueki.jpg
テケテケテケテケ…「うっひっひ、エレキはいいよねえ」

080327oyobi01.jpg
「あれっ? お呼びでない?」

080327oyobi02.jpg
「全くお呼びでなかったね」

080327oyobi3.jpg
「こりゃまた失礼しましたっ」はらほろひれはれ

※上記写真のフィギュア、ほとんどは私が“買っちゃったモノ”だが、「円谷プロファンクラブ(TFC)」会員の方からの頂き物も使っている。UMAXさん、ケイパパさん、妙な使い方をしてごめんなさいm(__)m

 それはともかく。
 
 この「お呼びでない」のルーツには諸説ある。

その1 小松政夫トチリ説
 植木等さんがしばしば語っており、最もポピュラーな説。
 付き人だった小松政夫さんが「おやじさん、出番です」と声をかけたが、実は早トチリ。セット入りして様子が変なのに気づいた植木さん、ご免なさいというわけにもいかず「お呼びでない?」とやったのがウケて定番ギャグになった。(『シャボン玉ホリデー スターダストをもう一度』五歩一勇 日本テレビ 1995、NHKロングインタビュー『夢を食い続けた男』他)
 が、この説について、小松政夫さんは「僕のことを、会う人たちにアピールするためにそう言ってくれていたのではないか」と語る。『シャボン玉〜』で「お呼びでない」が始まった頃、まだ小松政夫さんは付き人になっていなかったらしい。(上掲『植木等伝「わかっちゃいるけどやめられない!」』、NHK『わたしのこだわり人物伝〜植木等』)

その2 前田武彦台本説
 忠臣蔵のネタ台本に初めから書かれていたという説。
 赤穂浪士の面々が一人一人名乗りをあげるが、赤垣源蔵・大石主税・堀部安兵衛・神崎与五郎…と来たところで最後になぜか板垣退助…。関係ないのが一人いるので一同絶句…という展開だったそうな。青島幸男さんが前田武彦さんから直接聞いた話らしい。(『わかっちゃいるけど…シャボン玉の頃』青島幸男 文藝春秋 1988)
 また、同書には「この間クレージーのメンバーたちに会った時に皆に聞いてみた」が、誰もはっきり覚えていなかった、と書かれている。植木さんが「自分の出トチリがはじまりだと思う」とは言ったようだが、少なくともこの時点で小松政夫という名は出て来ない。

その3 寺内タケシ昼寝説
 当時人気絶頂のギターバンド、寺内タケシとブルージーンズ。睡眠時間もなかなかとれない忙しさだったので、ちょっとした時間に仮眠をとっていた。『シャボン玉〜』出番待ちの寺内さんはスタジオの片隅にあった棺桶のセットをベッド代わりに昼寝を決め込んだ。シャレのキツいスタッフたち…中で寺内さんが寝ているのを承知で収録現場に持ち込んじゃった…。さて本番。コントが進み、棺桶の蓋を開けると寺内さんがひょっこり起きあがる。言葉に詰まる出演者たち…妙な雰囲気を感じた寺内さんは思わず「あれ?お呼びでない?」。
 この説は、寺内タケシさんご本人から直接伺ったもので、少なくとも私の手元にある本には紹介されていない。

 どの説が本当か、などという詮索は野暮であろう。私は全て“伝説”と捉えている。
 どれもそれらしいし、どれも当時のミュージシャンや関係者ならではのホラともとれる。そして、どの説も味わいがあって楽しいし、当時の雰囲気や人間関係が伝わってくるではないか。

 我が家の法事に来てくれるお坊さんがおっしゃっていた…「故人を思い出すことが供養である」と。
 こうやってアホな写真を撮ったり資料を眺めたりしているのは、私なりの供養なのである。

 や、どうも。

nice!(0)  コメント(14)  トラックバック(0) 
共通テーマ:芸能

nice! 0

コメント 14

ケイパパ

“とにかく好き”だったのですね~。
ウルトラ絡めて、またしても凝った話を作っちゃう所は「studio7さん」らしいです。まさしくふさわしい供養なのですね。
よく見れば5カット目はどさくさに紛れて笑っちゃう位に凝ってる・・・(笑)

by ケイパパ (2008-03-28 18:11) 

studio7

>ケイパパ様
 またしてもウルトラ的にコメントしづらい記事へのコメントをありがとうございます…“続きを読む”をクリックしないとウルトラネタが登場しない構造にしてしまいました。
 クレージーはとにかく好きです。出会いはウルトラより早かったですし。七人全員がフィギュア化されたら、絶対買います(^^)
by studio7 (2008-03-28 22:33) 

オビコ

 エレキんぐネタ・・・そうだったよねぇ。

 良く使われる『エイコーラ!!エイコーラ!!』にヘルメットの棟梁姿で植木さんが出てきたおとっつあんが『おっとちゃんの為なら!』 『エイコーラ!!』
              『おっかちゃんの為なら!』 『エ~ンヤコ~ラ!!』

 そのあとの気まずい雰囲気に・・・
 『お呼びでない?お呼びでない・・・こりゃまった失礼しました!!』チャンチャン!!

 という古典的コントが好きです。

 映画の植木等(敬称略)『無責任男』とは云いますが、実際は『有言実行男!!』その上責任まで取っちゃうタイプが多く、今の日本のでは・・・
by オビコ (2008-03-28 22:47) 

studio7

>オビコ様
 『エイコ〜ラ〜』って、一度周囲も乗せられちゃうんですよね〜。
 この時だったか、『楽器で遊ぼう!ピーナッツ』の時だったか、後で睨んでいる(ハズの)スリーファンキーズが笑いをこらえている様子が写っています。

 経済学にも詳しいヲタク・森永卓郎さんの分析では、“実は有言実行男である無責任男”は高度成長期にはどこの会社にもいたとのこと…同期全員が社長になる、というケースも珍しくなかった時代ゆえ。そして、今の日本だからこそ、本来はそういう社員が求められるのではないか、と語っておられました。
 が、現在はそういう人たちって自分で会社を起こしてるのかなあとも思います。“社員”となるとキツいでしょうね、やはり…。
by studio7 (2008-03-28 23:11) 

初代イベントおやじ

さすが!いたずら好きおやじですねー(*^。^*)
伝説の全員コケ落ちですね!
後方のピット星人ってリアルすぎますよ(^.^)しかも用心棒のようにエレキンぐー
って!ウルトラアイ盗まれちゃった伝説の作品の一つではないですかー!(^^)!
でもちょっと悲しいお話でしたね(ーー;)
by 初代イベントおやじ (2008-03-28 23:26) 

studio7

>初代イベントおやじ様
 まずは4月のイベントデビュー、お祝い申し上げます(^^)

 ご指摘のピット星人はおなじみの食玩“ウルトラ怪獣名鑑”です。
 最後のコマのエレキングは、巷で噂の“アレ”ですね。
 
 植木先生はフィギュアとなっても、我が家にある全てのウルトラセブンを動員しても敵わないくらいの圧倒的な存在感があります。
by studio7 (2008-03-28 23:52) 

小夏

また、こんな時間にお邪魔します。
いったい、いつもなにやってんだ~・・・って時間でして(笑)
植木仁さんはダイスキでしたね。
なんとなく、亡き父に似ていて。ちなみに、性格は父親ながらやるな~という逸話を数々と作る方でした(笑)徹マンで帰らなくて、朝電話してきても
「パパだけど。家帰るの、忘れちゃったから、このまま会社に行くってママに言っといて」と真剣に電話してきたり。はははっ 忘れたんかいってかんじで。
植木さんも、お寺に生まれ育ったからか、なんか人生達観しているような方でしたよね。
それにしても、写真・・・・うまいですね。
生きているような「こりゃまた失礼いたしました」です♪
天国から喜んでいると思いますよ。
by 小夏 (2008-03-29 03:34) 

studio7

>小夏様
 おはようございます…なのか、おやすみなさい、なのか…?
 おっしゃるとおり、実生活の植木さんは生真面目なのに人を楽しませることが大好きで…という人格者だったようで、これもクリスチャンにして僧侶にして社会活動家で義太夫(だったかな?)のプロを目指したこともあるというご尊父の影響が大きかったみたいです。

 写真は、私がうまいわけではなく、フィギュアの表情が優れているからだと思います。箱に入っている状態だと「あんまり似てないじゃん」と思うのですが、ちょっとポーズをつけるとイキナリ“あの植木さん”になります。晩年のご本人自身が監修なさって、亡くなられた直後に発売…ある意味遺作ともいうべき作品です。しかも、片足でも自立可能な構造! ただ…衣装の作りがショボいのが難点です…(^^;
by studio7 (2008-03-29 06:54) 

オビコ

 自分も当然、このゴールデンスターは持っております。
 経緯も仰るとおりで、微妙に似ていないと思っておりました。ホントに動かしてナンボのゴールデンスターですねぇ。

 ♪テケテケテケテケ…「うっひっひ、エレキはいいよねえ」♪は絶!!5コマの内、一番植木等らしいねぇ。

註:植木等さんに関し、敬称略した『植木等』が一番植木さんらしいと思います。ですので敬称略させていただきます。
by オビコ (2008-03-29 16:46) 

マック&シュンカナ

植木 等フィギュア・・・
密かに気になったいた人形ではありましたが。
購入には至っておりません。
作りがよさそうだったので・・・

それにしても楽しいフィギュアの使い方ですね。

by マック&シュンカナ (2008-03-29 19:51) 

studio7

>オビコ様
 やはりお持ちでしたか(^^) 
 ギターは縮尺が異なったミニチュアを合成したんですが、デカすぎました…まあ、デフォルメ、ということにしといて下さい(^^;
 本当にポーズをとらせたり他のフィギュアと絡ませると“植木等”のキャラがぶぁ〜っと出てくるという不思議なフィギュアですね〜。
by studio7 (2008-03-29 20:09) 

studio7

>マック&シュンカナ様
 …っていうか…、フィギュア(特に関節可動のヤツ)って、他に使い方を知らないんですが…(^^;
 なお、我が家で唯一箱ごと保管してあるフィギュアがこの『ゴールデンスタア 植木等』だったりします。
by studio7 (2008-03-29 20:14) 

北島とめ吉

「こりゃまた〜」でズッコケてる黄色のジャンパーの人はダンですか?すごいリアルで実写みたいです。
植木等がギブソン・ファイヤーバードを愛用していたのかと思ったら、違うのですね。これ何のギター?

クレージーの映画で一番好きなのは黒澤明の「七人の侍」です!!

「あれっ?、、以下略」 

by 北島とめ吉 (2008-03-30 02:27) 

studio7

>北島様
 「ゴールデンスタア植木等」の他、3・4コマ目のセブンと5コマ目のダンとアンヌは30cm前後のフル可動フィギュアです。ダンは警備隊の制服が汚れたので洗濯するために着替えてそのまんま…。

 植木等さん愛用のギターはギブソンES-175Dというモデルだったようですが、私はギターには疎いので許してください。写真に使ったのも何だかよく知りませんが、大きさがフィギュアに合うかな〜と思って何となく買ったものです(合いませんでしたけど(T_T))

 
by studio7 (2008-03-30 16:20) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。