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新・ご家庭特撮 ~ポスプロ編 [ウルトラ]

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 無茶苦茶ではあったが、とりあえず(多少の取り直しと撮り足しはあったが)素材は揃った。
 次はポスプロ(ポストプロダクション…編集などのまとめ作業)である。

 作業自体は私が担当、途中経過を他のスタッフにチェックを入れてもらい、修正していくという作業の繰り返しであった。

★編集(使用ソフト…Apple FinalCutPro6)

 ドラマ部分はほとんど絵コンテどおりの絵が撮れたので、あとはカットの長さをいかにテンポ良くつないでいくかということに尽きる。

 その「テンポ良く」というのが難しい。

 以前、プロの編集現場を見て色々お話を伺う機会があった。
 ジェイ・フィルムの掛須秀一さん。作業自体はもう、もの凄い早さ。何をやっているのかすらわからなかった。
 ん~…使っているソフトは同じなのだが(ただ、キーボードに編集専用の様々な機能を割り当てているようで、それが余計に「何をやっているかわからない」要因のひとつではあったと思う)。
 もちろん掛須さんは掛須さんなりの理論や技術をお持ちであることは間違いないが、それ以上に「時間とフレーム数」とかテンポが体に染み付いているという印象を受けた。
 「実写、特撮、アニメでは編集の考え方が違うんだよ。もちろん、フィルムとビデオでも違う。それをわかっていない編集者が多いんだよね。例えば…」と説明して下さったのだが、残念ながら私には理解不能であった。

 理解不能なので、もう、私の感覚で進めていくしかない。
 「何かテンポが気持ち悪いな…」と思えば、試行錯誤で色々やってみる。本当に1コマ…1/30秒を加えるか削るかによってノリが異なってくるのだから驚きの連続であった。

 逆に、「素材を生かすも殺すも編集次第」ということを体感。いや~編集って面白いっス。

090228edit.jpg
▲編集作業中

 なお、iMacに標準でバンドルされている「iMovie」という編集ソフトでも色々と出来るらしいのだが、その場で思いついた変なコトを色々やるには、ある程度ハイスペックなソフトの方が自由度が高いのではないかと思う。

★音楽・録音(使用ソフト…SingerSongWriter/SoundTrackPro)

 ちょっとしたシーンでも、音楽の有無によってリズム感や「感じる時間」が異なってくる。
 著作権フリーの素材を使う手もあるが、そこからイメージに合った音楽を探すのも大変そうだし、市販の素材集はそこそこのお値段…。

 せっかく音楽製作ソフトを持っているので、巧拙はともかくとしてアタマで描いたものに近い音楽を自分で作ることにした。…と言っても、音楽の知識も無い…楽譜も読めない。楽器の演奏も出来ない。ま、テキトーも甚だしいのだが、それでも「ここにこんな音楽が欲しい」と思えば音楽ソフトを立ち上げてそれっぽい音楽を作っちゃえば話が早い。自主制作ならではのプロセスと言えるかもしれない。編集と併行して音楽を作ることにする。
 一番テキトーだったのが、“チビセブン”と“マック怪獣”の戦いが展開する寸劇映像のBGM。ず~っと同じ音楽を流しっ放しということもあるが、音楽そのものの作り方がハチャメチャだった。

↓音が出ますのでご注意を!

 映像の緩さに合った、のーてんきな曲にはなったと自負している。というほどのものでも無いが。
 コードネームで言うと、C7→F7→C7→F7→G7→F7→C7の繰り返し。3つのコードしか使っていないが、ちょっと偉そうに表現すれば「ブルース進行」というヤツ。
 これに、適当にギターの音を乗せただけなのだが、ちょっとした秘密がある。

 ベースの音とオルガンの音は、最初Cのスケール(ハ長調)ではなくAのスケール(イ長調)で作る。このイ長調というのは楽譜のアタマにシャープ(#)が3つもくっついているという、私にとっては天敵のようなもの。黒鍵を使わなければならないから。
 …なのだが、こうして作った伴奏に黒鍵を無視してハ長調のようにメロディを乗せてやると、あ~ら不思議…ジャズっぽく聞こえるのだ。だもんで、マジでデタラメにギターの音を入力して、明らかに変な音だけを取り除いていった。
 こうして作ったものを、またソフト上でハ長調に戻してある。…わかりにくいですよね、スミマセン。

 他にも何曲か作ったが、いずれも「どこかで聞いたことがあるような曲だけど、何だか違う」というもの。映像だけでなく、音楽もおしなべてパク…いや、オマージュである。

 エンディング画像には既存の音楽を使ったが、これも耳コピーや記憶コピーでパソコンのソフトで製作。これについてはちゃんと手続きをして日本音楽著作権協会から承諾を得た。CDなどに収められている音楽をそのまま使うと、また手続きがややこしいのだ。

 また、エンディング音楽の一部で「みんなで歌う」という部分があり、一応四声のコーラスにしたのだが、内声パートなんか自分でも難しくて歌えなかったりして…。

 私は楽譜も読めないし、楽器の演奏も出来ない。まともに音楽をやっている人とか色々聞いている人からしたら耳を塞ぎたくなるようなものにしかならないが、それもまたネタということで。


★CG(使用ソフト…STRATA STUDIO Pro)

 私が愛用している3DCGソフトはSTRATA STUDIO Proというもの。
 メーカー自体が既に無くなってしまったのと、ある日突然我が家のPowerMacG4との相性が悪くなりやたらと落ちたりフリーズしたりするようになってしまったという状況ではあるが、今の所私はこれしか使えない。
 リアルなキャラクターを作ろうとすると(しかもそれを動かすとなると)かなり大変なソフトだが、モデリングからアニメーション、特殊効果まで一通りのことがこのソフト一本で出来る。

 3DCGというのは、やったことが無い方には理解しにくい世界かもしれない。
 詳細は省くが、「フィギュアや小物や建物などをフルスクラッチで作ってジオラマにしたものを撮影する」という作業をパソコンの中でやるようなものと思ってください。照明やカメラもコントロール出来るので(もっと言うと、重力や風向きもコントロール出来る)「フルスクラッチでパソコンの中に撮影所を作る」という感じでもある。

 リアルに作り込もうと思えばいくらでも出来るのだが、形状や質感を複雑にしたりモノの数が増えるとパソコンの処理にも時間がかかる。
 今回は「らしく」見えればいいので、リアリティは追求しなかった。
 …それでもね…。
 オープニングの「ビルの屋上に掲げられたプロデューサーの名前が出ている看板を空撮」という14秒のシーン…。

 最初は↓こんなだった。


 うわ~、元ネタが思いっきりバレバレのような気がするぞ!

 空は「青いだけ」だし、最初の方にちょこっと見える建物らしきモノ(これは言うなればホリゾントにビルの写真を貼付けたような感じ)もほとんど効果が無い。これじゃ鬼プロデューサーには納得してもらえないだろうなあ。

 ええい。

090228town.jpg

 ↑こんな町並みを作った。見てわかるように、建物は数種類作ったものを複製して並べてある。窓まで作ったものもあるし、四角いだけのものもある。
 で、これをレンダリング(データを画像として見えるようにパソコンが計算処理すること)してみると…



 カメラには被写界深度まで設定し、奥の方はやや霞んでいるようにした(あまり効果が出なかったが)。
 結局、レンダリングに3日かかった。作り込んだ私もけっこう大変だったのだが、パソコンも大変だったわけである。

 さらに、この映像は後から(以前紹介したが)「フィルムっぽく見える加工」を施した。


 また、この3DCGソフトで作った爆発やら動く発光物体なんかを実写に合成したシーンもある。
 10年くらい前のソフトではあるが、まだまだ色々と使えそうなので手放せない。


★合成(使用ソフト…Adobe Illustrator/Adobe Photoshop/Adobe AfterEffects)

 編集ソフトのFinalCutProでもかなり高度な合成をしたり特殊効果を付けることが出来る。

 が、そもそもPhotoshopという画像(写真)加工ソフトとともに私のパソコン生活がスタートしているので、同じAdobe製品であり「動くPhotoshop」とも呼ばれたAfterEffectsのインターフェイスの方が(同じような効果を付けるにしても)何となく馴染みやすい。

 で、特撮部分でAfterEffectsを使わなかったシーンは皆無というくらいに活躍してくれたわけである。
 このソフトの機能だけで(私が思いつくレベルの映像なら)全部出来ちゃうと言っても過言ではない。
 過言ではないどころか、私はソフトが持つパワーのほんの一部しか使っていない(…使い方がわからない)。

 でも、「もう一声!」な時もあったりする。

 まず、これは実写に合成するための光。AfterEffectsだけで作ったもの。



 ただ、これだと「思い通りの光の形」にはなってくれない。

 で、Illustratorでこんな図を作る。

090228g01.jpg

 これをPhotoshopに読み込んでボカしたりする。

090228g02.jpg

 この絵をAfterEffectに持って来て色をつけたりさらに光らせたり重ねたり回転させたりすると…



 こんな光になった。

 それなりに手間がかかってましょ?
 だが、これでも“とあるプロの方”からは「もっと色を着けたり波状に動かしたりした方が良くなる」とアドバイスをいただいた。ん~、やはりプロの世界は凄い。


★DVD化(使用ソフト…DVD Studio Pro)

 パーティーの席では、映像をDVDに焼いたものを流すことにした。
 DVDソフトがあるから出来るハズである。

 …ハズであるのだが、この作業は、今回初めての体験。従って、ソフトの使い方はゼロから覚えなければならなかった。

 …と言うか…。

 編集ソフトからどんなデータで書き出してやればDVDソフトに落とせるのか、といった技術的なことが全くわからない。
 書き出す形式の選択肢がやたらと多いので、いちいち試す時間もない。
 
 マニュアル、読めよ!
 嫌だ。

 で、本屋さんのコンピュータ関連書籍のコーナーに走る。

090228book.jpg

 私が持っているのは「FinalCutStudio2」という、複数のソフトがパッケージ化されたもの。ここまでに登場したソフトで言うと…
 ・FinalCutPro6(編集ソフト)
 ・DVD StudioPro(DVD作成ソフト)
 ・SoundtrackPro2(音声編集ソフト)
…が含まれている(他にも色々入っているが…)。

 何故パッケージ化されているか、と言えば、それぞれのソフトが連携出来るからである。
 多分、そうだと思うぞ。

 てなわけで、そのあたりが易しく書かれた本を買ったのだ。ドロナワだよなあ。

 この本のおかげで(未だに理屈はわからないまま)、何とかパーティ本番までにDVDが準備出来たのである。


 えっと。

 前に、「2月いっぱいでブログも休憩」と書いた。

 えっ? もう「2月いっぱい」じゃんか!
 …そうでした。2月って、28日までしか無いのであった。2月なんて多くても年に1回くらいしか無いもんで、そのことをすっかり忘れて(オーイ)そんな宣言をしてしまったのだ。


 が、この一連の記事はまだ収束していない…。

 と、言うわけで、今年の2月は「31日まである」ということにしといて下さい。
       
タグ:自主制作
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コメント 4

UMAX

 なるほど…。
 正直さっぱり分かりませんが、とにかく大変だということだけは分かりました。
 ある時期からすっかりTFCBBSに登場されることがなくなってしまったと思っていましたが、これでは書き込む暇なんてありませんせんね(^^;)
 31日だろうが何日だろうが納得いくまでどーぞ!
 決して私的には「休憩」を望んでいる訳ではないので、続けられるまで書いてほしいと願います。
by UMAX (2009-03-01 06:51) 

studio7

>UMAX様

 「わかってもいないことを、さもわかったように書く」というのも私の芸風です(^^;

 実際にはトライ&エラーの繰り返しだったり偶然の産物だったりとてんやわんやでした。

 おっしゃる通り、パソコンは専ら映像製作に使用、ネットも技術的な課題を解決するために閲覧する日々でした。今もちょっとそんな状態ですが…。
 オフ会などウルトラなお友だちの皆さんとお会いする時もほとんどビデオカメラを持参して素材映像を撮るなどしてましたから、ホントに「身も心も」ってな感じだったと思います。

 ハマるとズブズブなヤツです…。


 
by studio7 (2009-03-01 18:01) 

みぃ パパ

 そろそろ「お手軽!ご家庭特撮のススメ」なんて本が作れそうですね?
 いや本当に!

 ビルや光・・・音楽・・色々やれるソフトが有るのですね?操れるようになったら私はひたすらやってるでしょう!あーでもない、こーでもない・・・

 やっぱりこうして作ったものは皆に見てもらって反応が見たいですよね?

 大変だとおもいますが、面白い世界だと思います。
by みぃ パパ (2009-03-02 00:28) 

studio7

>みぃ パパ様

 この手のソフトは、私にとって「高価なオモチャ」ですね〜。みぃ パパさん、手にしたらハマりますよ〜〜〜〜(笑)

 手作業で粘土コネコネなども好きですが、映像となるとパソコンが頼りです。
 最初にパソコン=Macを買ったのが1994年…本来漫画やイラストをデジタルでやってみたいという目的からスタートし、15年かけて徐々に3Dソフト、音楽ソフト、動画編集ソフト、合成ソフト…と増やしてきたものです。

 ウルトラなお友だちのおかげで、短いながらもやっと念願の「作品」にこうしたソフトを活かすことが出来ました。…この機会が無かったら、一生「ソフトを持っているだけ」だったかも知れません(笑)

by studio7 (2009-03-02 00:55) 

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