さらばウルトラマン大博覧会(Vol.4) [ウルトラ]
「ウルトラマン大博覧会〜ROPPONGI天空大作戦〜」報告第4弾。ウルトラマンマスクチェック篇。
展示されていたウルトラマンのマスクについては、Bタイプ・Cタイプとも当時撮影用に使われた“本物”であることが「円谷プロファンクラブ」の大御所会員の方によって確認されている。今回は展示されていた現状と当時の映像を比較してその変化をチェックしてみることにする。
「BタイプとかCタイプ…って、何だよそれ?」という方もいらっしゃると思う。実際、博覧会場でマスクを前に「なんか、この二つ、感じが違うね」と漏らしていた親子連れも見かけた。
実は、普通にウルトラマンの勇姿を応援しているぶんにはそんな分類なんて全くどうでもいいことである。ウルトラマンはウルトラマンですからね。
そういうわけなので、以下は興味をお持ちの方だけお読み下さい。
まずは、前にも掲載したフィギュアの写真からAタイプ・Bタイプ・Cタイプの違いを見ていただこう。
左から“Aタイプ”“Bタイプ”“Cタイプ”。Aタイプは「パイロットエース」のリアルスタンダードソフビ、BタイプとCタイプは「BANDAI/バンダイ」の『ウルトラの星計画』のもの。
Aタイプは、第1話〜第13話まで登場(もちろん、『ウルトラマン前夜祭』に登場したのもこのタイプ)。
シワシワである。これは、材料が怪獣の造型と同じラテックス製(乱暴に言うと、マットレスの中身にゴムを塗ったようなもの)で、なおかつ口が開閉する想定だったことでこうなった。しかも、話数が進むにつれて顔が崩れていくという…。従って、当時撮影に使われたマスクは現存しないようで、今回の展示品にも無かった。
第14話〜第29話まで活躍したのがBタイプと呼ばれるもの。BタイプからはFRP樹脂製(バイクのカウルや車のエアロパーツなどに使われている素材)となった。Aタイプと同じ型から起こしたものらしい。知的で神々しい顔立ちで、このタイプが好きという方も多いのではないか。
第30話〜最終回に登場し、以降ウルトラマンの顔のスタンダードとなるのがCタイプ。アルカイック・スマイルを湛えつつも力強さを感じさせる顔である。私が一番好きなのはこの顔。
なお、マスクと併行してボディ(スーツ)も変化していったが、ここでは言及しない。また、実際の撮影に使われたマスクの考証ではなく、あくまで展示品のチェックであることをご承知いただきたい。
ウルトラマン、ウルトラセブンとも、撮影中のマスク&スーツの変遷については、“Qちゃん”さんが管理なさっている「光跡」というサイトが大変詳しい…もの凄く詳しいので、是非そちらをご覧いただきたい。
さて、ウルトラマンマスクBタイプ。
なお、この記事のスケッチは会場で描いたものではない。帰宅後、各種資料なども参考にしながら頑張って(自分で言うな!)描いたもの。また、あくまでチェック用に描いたので、パーツの形状や位置、角度などが異なっていたり矛盾していたりするし、影の付け方もテキトー。
…デッサン狂いも自覚しておりますm(__)m。
●目
まず、のぞき穴について「ずいぶん欠けているなあ」という印象を受けた。が、改めて映像を見直すとほぼ当時のままであることがわかった(少し欠けているようだが)。電飾(6Vの豆電球か?)によって発光部分が膨張して見えるために、のぞき穴がもっと小さいと感じていたのであろう。展示品は電飾パーツが丸々外されていたので…。なお、向かって右目が少し取れかかって上部に隙間が出来ていた。
●修整跡
向かって左の額部分に、かさぶたのようにパテ補整がなされている。
これは第24話で、グビラのドリルで穴があいてしまった痕だとの説がある。私も同話を見たときに「あ〜あ、マスクに穴があいちゃったよ」と思った記憶があったのだが、今DVDを見直すとそのようなシーンは無い。…う〜ん…???
しかし、Bタイプマスク最後の戦いである第29話ゴルドン戦に至るまで、明らかに穴があいているのが確認できる(24話から29話については、放送順と製作順が同じなので、時系列は間違いないと思われる)。また、ゴルドン戦において、戦いのシーンではパテ埋めされているようだが、ペルシダー救出シーンは穴のままの状態であった。
いずれにしても“何らかの事情”で穴が開いてしまい、それを埋めたことは確かである。
また、向かって左の目の上にもパテ埋めしたような箇所があるが、これはDVDでは確認出来なかった。
さらに、口の周辺もなんだかデコボコしている。これも修整跡と思われるが、DVDでは最後までツルツルしているように見える。向かって右の口元の凹みも作中では見られなかった。
●電飾スイッチ
DVDチェックをすると、電飾スイッチは両耳の中(片方が目のスイッチ、もう片方がカラータイマーのスイッチらしい)にあるのだが、今回の展示品は向かって左耳の後側に付いていた。
この電飾の付け替えや作中で見られなかった修整などは、撮影終了後にアトラクショーなどで使用するにあたってなされたものなのかも知れない。
続いてCタイプマスク。口をもっと幅広く描かねばならなかった…。
塗装のし直しはなされているようだが、当時と大きく違う部分は見られなかった。
●目
少なくとも電球を反射させるアルミ(?)板は撮影の後に付け替えられたと思われる。これは、除き穴の形が映像と異なっているように見えるから。映像では反射板に開けられた穴は透明部分の形と同じような形状であったが、展示品は正円に近いものであった。ただこれもBタイプと同様に発光によって穴が小さく見えた可能性もある。
光ってはいなかったが、目の内部の電球が確認できた。
●口
唇部分の凹凸は健在。写真などで見るとバリのようにも見えるが、展示物から曲線状の凹みと周囲の盛り上がりであることが確認出来た。
とさか(?)の向かって右側にあった凹みについては、謎。
こんなチェックをしてどうするのかと思われる方もいらっしゃるかもしれない。
特に権威付けをする気はないのだが、ウルトラマンとウルトラセブンのマスクは、彫刻家である成田亨氏がデザインをし、同じく彫刻家である佐々木明氏が造型したもの。怪獣や宇宙人も成田亨氏や池谷仙克氏がデザインし、画家の高山良策氏が造型を担当しているのだ。いわゆる芸術作品との違いは無い。
それに加えて、機電の倉方茂雄氏が目を発光させるなどのギミックを施してキャラクターの存在感を一層高めている。これは芸術家と職人とのコラボと言って良い。
絵画や彫刻の分野ではX線撮影まで行って作品の創作プロセスや補修の跡を調べているではないか。そうした美術研究をしている人達と、好奇心という意味では全く変わりはない…と思うぞ。
さて、次回はウルトラセブンのマスク。
上記のように、ウルトラマンはB・Cの2タイプが展示されていたわけだが、セブンは4タイプが展示されていた。しかも、ウルトラマンと比べて差異がわかりにくい。これはまた大変そうだなあ…。
よかったぁー。自分の確認したのと同じです。
ということで私はこのことをBLOG記事にしなくてよくなりましたぁー。
(何でじゃい)
いやぁ、それにしてもウルトラマンが上手に描かれていますね。
私はシャレでも冗談でもなくウルトラマンが書けないんです・・・
小さいころも怪獣しか書いていなようで・・・
シュンスケとどっこいですので。
それにしてもBタイプののぞき穴拡大は困ったものですね。
あの感じだと経年劣化でどんどん拡大していくような気がしてなりません・・・
by マック&シュンカナ (2008-01-25 19:55)
マック&シュンカナ様
チェックポイント、同じでしたか(^^) お互い、記事中の“大御所会員の方”からの示唆に基づいてチェックしましたからね〜。でも、マック調のレポートも是非!
塗装もやり直されているみたいでしたね。別コーナーの佐々木明さんご本人によるレプリカはもっと色の劣化がありましたから。
ウルトラマンの顔は本当に難しいです。立体を作ったから平面なんてチョロいもんだ…と思ったら大間違いで。特に、Cタイプはまさにフィギュアで作った顔なので油断してしまいました。
しかし、改めて「本物かあ…」と思って眺めていると、本当に国宝を見ているような…。気持ちとしてはチェックどころじゃなかったというのが実状です…拝むような感じでした。
by studio7 (2008-01-25 20:56)
電飾のスイッチが耳にあったとは知りませんでした。
バッテリーはどこですか?
マスクの合わせ目は左右ですか前後ですか?
若しくは一体成型?
よろしくお願いします。
by 北島とめ吉 (2008-01-25 22:05)
>北島様
ウルトラマンのバッテリーは、脇の下の肋骨のあたりにあります(ウルトラセブンは、背中)。ガムテープでまとめた単一電池4個直列(×2)が入ってたらしいです。
マスクは左右分割だと聞いてます。ウルトラマンの場合、頭の後側まではマスクで覆われていませんし。
セブンは三分割で、頭部左右と顔だとのこと。
ただ、この分割方法については20年前に人づてに聞いた話で、手元の資料には出ていません。また、セブンの口部分に縦の分割線(のようなもの)が入っている写真もありますし…もっとも、口は別パーツだったみたいなのでそこらへんも曖昧です。
現行のマスクはどうなのかなあ? シリコンだと一体成型でも一発型抜き出来るのでしょうか? 最近のヤツは、素材すら知りません(^^;
by studio7 (2008-01-25 22:27)
さすがイラスト上手だと助かりますなぁ。
最近夙に疲れ眼からか、視力が悪くなってきており、今までのような夜更かしは止めようと思います・・・
さて本多猪ですが、なぜ本多猪・・・四郎・・・普通はこんな変換はしない・・・
本題ですが、Cタイプの謎は我々がいつも見るスペシウム光線の写真とは眼の印象が異なるということですかねぇ。覗き穴は変え様はないはずで、写真から推測するには右眼のほうが多少下のように見受けられますが・・・
唇の形成から展示物が真のCマスクなら、42年目を迎えさらにウルトラの生き証人(?)として、またいずれかで展示されることを望みますねぇ。
by オビコ (2008-01-26 22:14)
>オビコ様
イラストに関しては、貴兄も漫画サークル出身ではないですか! 会場で一緒に“怪しいおじさん”をやりたかったなあ…
なお、私はめちゃめちゃ遅筆です。
眼の印象、私は発光の有無による違いと判断しました。光ると膨張して見えるから、と…。チェック、緩かったですかね(^^;
京本政樹さんが再現したCタイプマスクも唇の凹みまでちゃんと(?)付けてありました…一緒に並べて見てみたいなあ。京本バージョンは今どうなっているのやら?
by studio7 (2008-01-26 23:04)
お初にお邪魔させて頂きますm(_ _)m
初代ウルトラマン、ウルトラセブンには奥深く考察されていることはお聞きしていましたがまさかこれほどまでとは…!
あらためて気付かされたことが多々あり、大変勉強になりました。
ところでこれら初代ウルトラマンマスクの変遷は作品製作上(AタイプがボロくなったからBタイプに変えた等々)の都合であったことは既に周知のとおりですが、今回はよくある特撮マニアの想像的考察になりますがストーリー然とした中のマスクの変遷考察の一例について紹介しておきたいと思います(既に見聞きしたことがあるかもしれませんが…)。
「初代ウルトラマンのバージョンアップ説」って聞いたことがありますか?
これは本来のウルトラマンの姿は初めて地球上に降り立った時の姿つまりAタイプであった訳ですが、その後地球上に滞在することによって環境変化などからBタイプ、さらにはCタイプに進化していったのではないかというものです。
またそれらは持ち得る光線技にも進化をもたらせ、当初スペシウム光線の単発発射のみであったものが、スペシウム光線の連続発射、アタック光線等の新技をも繰り出すことが可能になった…。
いかがでしょうか?
あくまで私のオリジナルではなく、過去にあるファンが考察されたものなのですが、なるほど~と妙に納得してしまったことを記憶しています。
またこの初代マン3タイプのマスクデザインが後のいわゆる平成ウルトラマンシリーズ各ヒーロー(ティガ、ダイナ、ガイア)のマスクデザインモチーフになっていることはご存知…ですよねぇ~失礼しました(>_<)
by UMAX (2008-01-27 08:51)
>UMAX様
ご訪問ありがとうございます。
奥深い考察などめっそうもない! 私は“狭く・浅く”のファンです。
そんなヤツが今回のように妙なハマり方をしてしまうと、ご覧のように二進も三進も行かなくなってしまいます。
ご紹介いただいたマスク変遷の説、私も妙に納得したクチです。
私は京本政樹さんの『ウルトラマン解体新書』(永岡書店・1994)で似たような説を読みました。
『ウルトラマン研究序説』(サーフライダー21・中経出版・1991)が火付け役だと思いますが、ウルトラに関してもいわゆる“謎本”がずいぶん出ましたよね。個人的には『〜解体新書』が一番面白かったです。
え〜…。平成ウルトラマンシリーズについては、いまだに見分けが付かない状態で…(^^; デザインのモチーフの話も初めて知りました。ありがとうございます! また色々と教えて下さいますようm(__)m
by studio7 (2008-01-28 02:26)
今でも、ガマクジラの対決画像とゼットンのカラータイマー潰し画像を見たいのです、ピンナップ画像でもいいので、よろしくお願い致します。
by ウルトラファン (2009-05-30 20:44)
>ウルトラファン様
ご訪問ありがとうございます。
技術的な問題や法的な問題があって、このブログではオリジナルの映像は掲載しないようにしているのですが、ネットで色々と検索してみると見つかるかもしれませんね。
また、いずれのシーンも写真が掲載されている印刷物も多々あると思います。2009年5月から、デアゴスティーニというところから『週刊ウルトラマン オフィシャルデータファイル』が創刊されましたので、そちらでお探しになるという手もあります。
ファン活動も、つきつめるとけっこう大変ですよね(^^;
by studio7 (2009-06-01 00:57)