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さらばウルトラマン大博覧会(Vol.6) [ウルトラ]

 「ウルトラマン大博覧会〜ROPPONGI天空大作戦〜」報告6回目にして最終回。今度こそウルトラセブンマスクについてのチェック。

 展示されていたマスクは4種類。感動ですよ、感動!
 どうでもいいが、せっかく首の部分まで着いた形で展示してあるんだから、後側も観たかったなあ…。

 4つのマスクが並ぶ様子は壮観であった。
 が、どれも何だか奇麗過ぎるんだよなあ。

 本題に入る前に余談ですが。
 改めて『ウルトラセブン』のDVDを観ようとしたわけだが、第一巻のパッケージ写真を見てびっくり。
 写真、修整されてるやんか!


 わかりますかね〜、顔・足とも左側の青背景がオリジナル、右側がDVDのパッケージ。

 ウルトラマンにしてもウルトラセブンにしても私のイメージは「傷だらけ&塗装は筆塗り」なのである。これがまさに歴戦を物語るようでカッコいいと思っているのだ。

 しかし、今回の博覧会で展示されていたマスクにはそういう歴戦の跡が見あたらないのだ。さらに4つのうち3つは全体的に経年による色などの劣化がほとんど無い。

 う〜ん…。こいつら、当時撮影に使われていた“本物”なんだろうか。
 かと言って、わざわざバリエーションを新しく作るというのも考えにくいし。
 ただ、1点は“本物”の可能性が高い。根拠は、首の部分にモロボシ・ダンこと森次晃嗣氏のサインに加え、マスクを造型した佐々木明氏のサインがあったこと。

 当時モノか否かは、今この時点では確認が出来ないので、とにかく展示されていたマスクが「どうであったか」ということだけを記録しておくことにする。また、結局DVDチェックは断念(おいおいっ!)し、『テレビマガジンヒーローグラフィックギャラリー(3) ウルトラセブン』(撮影:大島康嗣・講談社・1995)をメインの資料とした。

 さて、ウルトラセブンのマスクのバリエーションは、「ウルトラマンA・B・C」のようにパッと見てわかるようなものではない。
 
 便宜上、展示順に従って右からABCDとする。また、この並び順は、新しいバージョンから古いバージョンへと遡っていく形での展示。

●Aタイプ(後期バージョン)
 上で“本物”ではないかと推察したのがこれで、撮影後期のマスクであろうと思われる。サインがあるくらいだから最終話まで使われたものかもしれない。
 後半タイプのわかりやすい特徴は、本来2本あるべき首の後のラインが1本になっていること。

 あ、今回の写真は全て我が家にあるフィギュアですんで(^^;
 2本のうちの下のラインは撮影中にしばしば外れてしまい、後半はそのまんま1本でいくことにしたという話。
 また、口の部分が全て顔と一体成型であることや、目の周囲の凹んだ部分の下のラインがやや鋭角であることも後半(後期)マスクの特徴である。

 耳にあるスイッチを含めて電飾は全て外されていた模様。全体的にやや黄ばみが見られた。クリアでコーティングが施されているようで、その塗装のひび割れが随所にあった。

●Bタイプ(中期バージョン)
 “微妙な口元”が特徴。もともとセブンは唇を動かすことが想定されていたらしい。このタイプは動かないが、動かすためのギミックと同じようなモールドが施されている。あるいはギミックをパテ埋めしたのかもしれない。この形がその後のスタンダードとなったような…。

 展示品には除き穴の外側に上下に電球が二つ仕込まれていた。
 以下、B・C・Dタイプとも首のラインは2本。

●Cタイプ(初期バージョン)
 上記の“唇を動かすギミック”らしき痕跡があり、その部分が別パーツで作られている。さらに特徴的なのは、顎の部分。他のバリエーションと比べて出っ張りが少ない。

 目の電球は除き穴を挟んで横並びに二つ。電球の配置はこのB&Cタイプの他に、除き穴の外側に横並びで二つというマスクもある。

●Dタイプ(プロトタイプバージョン)
 撮影前に披露されたタイプのマスク。番組には登場しないが、事前の宣材として使用されたらしい。
 大きな特徴は二つで、一つはアイスラッガー部分から額にかけての凹んだ部分。そこに施された四角いモールドが銀色のままであること。他のものは肌色とクリーム色の中間のような色である(例外:『悪魔の住む花』で松坂慶子の体内に入ったときは銀色のまま)。
 『京本政樹のHERO考現学』(バンダイ・1992)によれば、これは反射テープを貼り付けたものとのこと。で、プロトタイプはまだ貼付されていないという状態。
 もう一つの特徴は口の周りで、撮影時にはパテ埋め・塗装された部分がまだ下地のウレタンが枠のように黒く残っている。

 さすがにこのタイプのフィギュアは我が家には無いので、別バージョンのフィギュアの写真を加工しました。
 
 ウルトラ関連書籍の写真を見ると、この4種類以外にもバリエーションが見られる。前回もご紹介した「光跡」というサイトでは(スーツのバリエーション込みで)9タイプに分類されている。
 今回展示されていた4種類は、最も特徴的なバリエーションと言えるかも知れない。

 さて、アイスラッガーは4つとも全て後から作ったものを付けたのではないかと思うが、いかがなものか。
 A・Bには正面の凹みが無く、C・Dには凹みがあった。

 マスクとの組み合わせは正しいと思うのだが、A・B、C・Dそれぞれ同じ原型のように見えた。Aタイプはもっと短い(低い)はずだし。

 で、いずれのマスクを見ても非常に気になったのが眼の除き穴の形。
 4つとも奇麗な正円もしくは楕円状に開けられていた。

 書籍類の写真を見る限り、こんなに奇麗な穴のマスクは見あたらない。放射状のモールドが干渉したためか、全てギザギザなのである。
 サイン入りのものは、正円。しかも向かって右の眼の穴の位置がずいぶんとずれている。仕方がない、最終話のDVDをチェックしてみよう。

 最終話後半でダンの最後の変身を止めようとする“セブン上司”として登場するシーンが一番確認しやすい。

 …。

 やっぱり、違うぞ!
 これっくらい違う!

 上のイラストは、最終話の画面をトレースしたものなので、位置や形状はかなり正確なはず。
 下はそのイラストを元に、私が会場でスケッチ&メモした状態を入れ込んだもの。
 色見もずいぶん異なる。

 会場でのメモにしっかりと「正円」「穴ズレ」「塗り黄色」と書いてあるところを見ると、現物を見たときにも違和感を持ったのであろう。…あろう、って自分のことだよっ。

 そうなると…。

 セブンマスクチェックの結論:よくわかりませんでした

 何をぉ〜〜〜〜っ!? さんざん引っ張っておいて結論はそれかいっ! 

 例えば、マスクそのものは“本物”だが、首は新調されたという可能性もある。マスク自体も塗装をし直したり電飾を付け替えたり破損個所を取り替えたりしたということも考えられる。
 従って、敢えて今回“本物”であるかどうかという視点で見た私が間違っていたのかもしれない。

 セブンのマスクにこれだけのバリエーションが存在したことを示したという意味で、これらの展示は重要である。
  ウルトラマンのマスクにしてもウルトラセブンのマスクにしても、その変化は現場での試行錯誤の記録と言うことができる。今回は触れなかったが、スーツの材質や塗装・縫製についても然り。
 惜しむらくは、展示品にそういった解説が付けられていなかったこと。主催者サイドはそのあたりをもう少し強調しても良かったのではないだろうか。

 円谷特撮の歴史は、創意工夫と新しいことへの挑戦の歴史であると思う。
 マスク以外の展示を含めて、今回の博覧会では改めてそれを強く感じた。

 あるマスコミ関係のサイトに、昨年の円谷プロ買収について「(円谷英二の)パイオニアのクリエイティブ魂を後継者の方々は受け継ぐことができませんでした。それが経営悪化につながり、最終的に今回の買収劇に至ったのではないかと思います」と書かれていた。
 違うと思うぞ。
 採算そっちのけで様々な工夫や技術を取り入れて良い作品を作ろうとした姿勢こそが、まさに円谷英二監督から受け継いだ魂であり、経営悪化に至ったものなのではないか。その善し悪しについては云々しないが、少なくともそうした魂が今なお円谷作品の…ウルトラマンたちの人気につながっていることは間違い無いだろう。

 気になるのは、今回展示されていたものたちが今後どうなるのかということ。

 ウルトラマンも時代の流れには逆らえない。
 2月1日にはウルトラシリーズの撮影で大活躍をした東宝ビルトも無くなる。
 円谷特撮ゆかりの場所(“あそこ”も!)がどんどん無くなっていく。

 そんな中で、過去のプロップや資料などはどうなってしまうのか…。
 今回の「ウルトラマン大博覧会〜ROPPONGI天空大作戦〜」を、“最後の博覧会”にしてはいけない!

 是非また私にマスクやらプロップやらをチェックする機会を与えてほしい。…って、またやる気かよ、オレ。

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コメント 3

マック&シュンカナ

ですから、横須賀美術館に常設展示を!!
そうしたら会社辞めて(つぶす気か己は・・・)管理人になります!

でも、倉庫もビルドもなくなるんですよね?
あれだけの展示品はどうなるのでしょうか・・・

一番いいのは期間を決めてマニアに預けてくれればいいと思うのだが・・・
そうしたらすごく大事に保管すると思うんだけどね。

それにしても記事を読み返して、自分は見た疑問も解けました・・

会場でセブンのマスクを見た違和感は、ウルトラマンに比べて全てが
きれいだったことなんですね。

特に「目のクリアー」部分が不自然にきれいでしたから・・・
by マック&シュンカナ (2008-01-28 23:31) 

オビコ

 ウルフェス2007では、登場順にA・B・C・Dタイプと名づけられました。今更ですが・・・

 サインマスク以外は再現マスクとなっております。
 ホントに記憶がいい加減というのか、昨年どこかでウルトラファイトに出ていたウルトラセブン(首の黒いスーツ)を見ており、これがウルフェスだったような気がするのですが・・・写真が撮ってないというチョンボをしまして・・・

 『光跡』の上げられる9タイプのスーツ説も判らなくはないのですが、5タイプという説もあり、ホントはDVD観て自分で観察するのが正しいかもしれませんが、自分もセブンDVD-BOXをもっていなかったりする。

 それに比べると何故今のウルトラ兄弟のアトラクスーツのラインはあんな風なの?というジャック(正規の帰りマンラインではないスーツをジャック仕様と呼んでおります)とゾフィ-(メビウスの初期に出てきたスーツ)ですが・・・

 早く正規ラインにして頂きたいものです。岡部副社長。
by オビコ (2008-01-28 23:39) 

studio7

>マック&シュンカナ様
 マックさんがウルトラ美術館の管理人になったら、私をウルトラマンや怪獣をメンテする“怪獣おじさん”として雇ってください(^^)
 
 ファンに預けるというのも方法だと思うのですが、やはりどこかでまとめてしっかりと保管して欲しいものです。特に、ラテックス製の怪獣さんたちは劣化しやすいですし、本当に博物館レベルの保管状態でお願いしたいと…。

>オビコ様
 やはり3点は再現でしたか。実はそのあたりについては貴兄のコメントをお待ちしておりました(他力本願)。
 セブンのDVDは全巻持ってはいるのですが、全てを確認する根性はありませんでした。コマ送りですのでエラく時間もかかりますし眼も疲れて…。
 アトラクスーツはまともに見たことが無いので『帰ってきたウルトラマン』についてはわからないのですが、ご指摘に従ってメビウスのゾフィーを見たら…うわっ!腕のラインが全く違うんですね…アルソリのゾフィーもメビウス版か!
 
by studio7 (2008-01-29 00:31) 

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