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studio7ひみつ墓地 [その他]

 「基地」では無い。「墓地」である。
 秋分の日ということで墓参りに行った。親が存命中はもちろん没後も親不孝者で、命日やら誕生日やらを平気で忘れるので、思いついた時に行かないと…。

 最近よくみかける「ガーデン墓地」というヤツで、1,064区画ある。
 我が家からは車で1時間ほど。
 ここを選んだのは母親なのだが、「家から近くていいわね」と。“家”というのは実家のことである。その母親が真っ先にこの墓に入り、実家は既に無い。ちょっと考えればわかることなのだが、まあ、本人が気に入った場所なので良しとしよう。


 この墓地は墓石の高さが制限されていてバカでかいものは無いのだが、そのぶんデザインやら何やらが凝っているものが多く、ぐるりと1周するとなかなか興味深い。
 「○○家」と彫られた伝統的なものよりも、シンボリックなキーワードを彫り込んだものが目立つ。圧倒的に多いのは「和」と「愛」。英語やハングルが彫られたものもある。

 我がstudio7家もこうした流行に乗り、何か面白…いや、家風に合った文字を入れたいと考えた。

080923boseki.jpg

 「游」。

 「遊」と同じく“あそぶ”という意味である。


 いや、ちゃんと生前の母親に提案したのだ。一発でOK。

 おなじ“あそぶ”でもサンズイであるわけで“水上に浮かぶ”という意味もある。また「游言」という熟語のように“根拠が無い”という意味もあったりして、そこらへんも私は気に入ったのだが、それは母には黙っていた。「シンニョウの“あそぶ”より、こっちの方がイメージが良いんだよ」とかテキトーなことを言った記憶がある。


 この文字は、『西遊記』からとった。

 “斉天大聖”と称して天宮でさんざん大暴れをする孫悟空…もはや玉帝の手にも負えず最終的にお釈迦さまの登場となる。
 「私の手から逃げ出すことが出来るか?」という挑戦に応じて觔斗雲でひとっ飛び。五本の巨大な柱を見つけた悟空は、そこが宇宙の果てだと思い込み如意棒を筆に変えて落書き(&立ち小便…)をしたが、その柱はお釈迦さまの指だった…。
 これで悟空は五行山(両界山)に閉じ込められて、500年もの間唐僧玄奘(三蔵法師)がやってくるのを待ち続けることになる。

 悟空がお釈迦さまの指に書いた落書きが…
『斉天大聖到此一游』

 この「游」なのだ。

 母への説明は、後付けで漢和辞典などを調べたもので、私はもう最初っからこの文字で行きたかった。


 やはり、と言うべきか、さすがに1,000以上ある墓石に“あそぶ”なんて意味の言葉が刻まれているのは我が家だけ。だが、ウチの家風にはピッタリだと自負している。


 自負、と言えば、以前ちょこっと記事に書いたが、この墓石は私がデザインした(文字は親戚に書道の先生がいたのでそちらにお願いした)。
 手描きのスケッチから3Dソフトでイメージを作成、さらにそのデータから三面図を起こして石材屋さんに渡したら、「ここまでやったお客様は初めてです」と呆れられた。けど、改めて石材屋さんが作った三面図を見たら、私が作ったもののコピーだったぞ。

080604boseki02.jpg
(3DCGによるデザイン画)

 さらに…。

080923book.jpg

 「デザイン墓石写真集」なる本が出て…。

080923page.jpg

 しっかり紹介されてるし。

 いずれは私もこの中に入るわけで、自分が入る墓をデザインするなんて一生に一度のチャンス(当たり前だ)である。
 

 てなわけで、私が遊びまくっているのは、家風に従っているだけなのだ。いや〜、長男は大変だなあ。 

 

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コメント 10

小夏

いい家風ですね♪

うちの亡くなった父は、わりと斬新な考え方の遊び人でした。
だから、わたしの父の買った実家の墓はわりとしゃれています。
数々の名言を残しましたが
朝6時頃電話してきて
「もしもし、パパ家に帰るの忘れちゃってさ。このまま会社に行くからって
ママに言っといて」だって(笑)
忘れたもんは仕方ないよね。

母はすごくまじめ。
たぶん真面目な母の血は兄に行き
父の血はわたしに???

遊走腎という体質だと病院で判明したとき
母は「あんたは体の中まで遊びまわりたいのね」とタメイキついてたっけ・・・・
by 小夏 (2008-09-23 23:34) 

studio7

>小夏様

 >忘れたもんは仕方ないよね
 →そ、そうなのかぁ〜〜〜〜〜っ????

 でも、“洒落た遊び人”って、カッコいいですよね。憧れます。
 机の前がウルトラセブンでまっ赤っかなヤツには無理…(--;)
 
by studio7 (2008-09-24 00:16) 

ケイパパ

studio7さんって、お墓のデザインまでやっていたのですか・・・。
確かに石材屋さんもビックリなさったことでしょう。
更に本にまで紹介されちゃって。
「游」良いですね!

我が家のお墓は今住んでいる所から歩いて10分位の所にあります。
ケイイチとお散歩がてらに良くいきます。
中が狭くて、拡大工事をしなきゃいけないらしい・・・。
丁度、自分の時位らしく、親曰く「やっておいてね!」との事・・・。
by ケイパパ (2008-09-24 08:37) 

たぶん(笑)マック&シュンカナ

以前に聞いた例のお墓ですねぇ~
3Dで石屋さんに図面を持ってくる人はまずいないとおもいます(笑)
ウチも考えなkれば・・・
by たぶん(笑)マック&シュンカナ (2008-09-24 20:04) 

studio7

>ケイパパ様

 生きている間に住む家…墓地ではなく基地をデザインと言うか設計出来れば最高なんですが、さすがにそれは無理なので…。
 
 もし母ではなく、自分の代が最初に入る墓だったらもっと変な形にしたかったです。

by studio7 (2008-09-24 20:37) 

studio7

>確実にマック&シュンカナ様

 最初に石屋さんが持って来た見本が、単なる台形みたいなヤツで面白くも何ともなかったので…墓石に面白さを求めることの是非は問わないでください(^^;

 幸か不幸か、墓石の発注と完成の間に母が亡くなりまして、本人は現物を見ることはなりませんでしたが生前に3DCGは見せることが出来ました。そう考えるとCGも悪く無いですね〜(笑)

by studio7 (2008-09-24 20:47) 

(ばれちゃった?)マック&シュンカナ

いやいや、いいと思いますよ。
姪っこの幼稚園の時のボーイフレンド(って、まだ1年生だよ!)が
石屋さんでした。
自分が飼っていた猫が7匹お墓に入っているので、石屋さんに名前を彫ってもらいました。
自分が死んだらお墓は多分猫の形だと思います。
ちょっと「キティラー」と間違われそうで悩んでいますが・・・

あ、肉球の形でもいいかなぁ~。
3DCGは作成できないので、自分はいつもどおり手書きですねぇ~。

って、家が建つ前から墓石の話になっちゃいました。
by (ばれちゃった?)マック&シュンカナ (2008-09-24 21:56) 

studio7

>まさしくマック&シュンカナ様

 先祖代々の墓に入るのもオツなものですが、生前に自分のオリジナルの墓を作っておくのも先々の楽しみ(?)が増えます。

 ただ…。順当に行くとしばらくは墓の中で母親と二人で過ごすことになります…毎日親不孝を怒られそうです(苦笑)

by studio7 (2008-09-24 22:33) 

みぃ パパ

 粋なセンスの墓石だと思います。
 まだまだ先の話ですが、その時には「セブンコレクション」も展示できるように「基地」にしておかねばなりませんね?
 そうなると「ウルトラ系」の書物に紹介されて、全国各地から「ご利益にあやかろうと・・」
 拝観料とれますよ?「studio7大明神」・・・えっと、ご利益は何にしましょうか?
by みぃ パパ (2008-09-24 22:58) 

studio7

>みぃ パパ様

 えー…本文には敢えて書かなかったので、ナイショですよ…。実は、手描きのスケッチはもっと複雑だったんですけど…平たく言っちゃうと「手持ちのソフトと技術で出来るデザイン」に落ち着いたんです。
 また、“墓石”というイメージからはどうしても離れられませんでした。

 狭い区画なので残念ながら我が家のコレクションは飾れませんが、意味なく拝観料だけ取ったりして(笑)
 ご利益はズバリ「人生をナメて生きられるようになる!」です。

by studio7 (2008-09-25 00:30) 

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